ワインを少し感じる暮らし

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ソムリエを目指していたころ―2〜パリ編〜

<<   作成日時 : 2008/03/13 08:02   >>

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 ワインの本を購入したり、日曜日に(店が閉まっているので)有名店を訪れては、外に張り出してあるメニューなどを見てフランス語を書き写したりと、何とか早くフランス語に慣れなくてはと焦りながら暮らしていましたが、ワインの表現を学ぶためにワインの学校に通おうと決意し(なんといってもお金がかかりますからね、大変・大変)、“デギュスタシオン(degustation=テイスティング)を重視します”というところを見つけ、何とか通いだしました。
 最初は何を言ってるのかさえもがわからず、必死に聞き取れる単語だけを書き写すという、今考えればあまり効率的にはどうかなとも思うのですが、その当時はそれしかコメントを実際に学ぶための手段が思い浮かばなかったので、気合を入れて聞き取りをやっていました。
 この学校の良かったところは、例えばポムロールの違いを探るというとドーンと一挙に16種類ぐらい出してくれたり、一月に2回ぐらいは生産者が来ての無料試飲会をしたりと、さすがに約20年も昔のことなので、まだそんなにワインの値段も高くはなく、良心的な学校だったと思います。
 ただしここの問題点は冬寒いことで、実際にこの場所でワインを保管していることがあったにせよ、まったく暖房を入れません。「これくらいがワインにも人間にも良いんだ」とのご意見なのですが、真冬のパリで、なぜか外気温くらいの部屋で約2時間もじっと座って話を聞いていると、凍死するんじゃないか?ぐらいに足元から冷え込みます。10分間の休憩中に近くのバーガーショップに大急ぎで走って行って暖を取ったことなども今となっては、笑える話です。
 ここで単語や会話にも慣れてきたので、もう一つマドレーヌ広場のそばにあった学校にも通うようになりました。
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 この学校では生産者自らがワイン作りにおける自分の考えや、ワインの香りや味わいの個性を直接説明してくれる、という少し上のクラスを取ったので、さまざまな経験ができました。
 ローヌの生産者であるシャプチエが来たときなどは、今ではポピュラーになってきている“自然派のワイン作り=ヴィオディナミ”に関する話をはじめて聞いて、あまりにもほかの生産者との考え方の違いにびっくりしましたし、そのときは授業が終わると、生徒(とはいっても年配の紳士淑女なのですが)がみな感動して拍手で送り出しました。
 また違う生産者のときには、最近のワインの出来栄えについて、わりときつめの意見をいう人がいたりと、ワインを通じて話し合う、生産者が目の前にいながら自分の考えをしっかり述べる、ということに最初は驚きましたが、“自分はこう思う”という意見を言い合うのが大事と考えるフランス人気質を感じることが出来ましたし、会話の中で実際に使われている単語などもいろいろと聞きながら学ぶことができ、ワインに関する語彙を増やすことができました。

 そんなこんなで毎日暮らしてはいたのですが、同じくワインに関する仕事を目指していた友人から、“パリのソムリエ協会というところでソムリエの授業をやっているみたいだ”との情報を聞いて、恐る恐る訪ねてみました。
 リパブリック広場に程近い下町の一角にそのビルはあり、“ギィー”と思いドアを開けると下町な感じの建物で、イメージしていた建物とは程遠く、ほんとにここでいいんかいな?と言う感じで、ぎしぎし鳴る階段を上っていきました。
 入るとそこは意外と活気があり、20〜30人ぐらいの人が所在なげに座っており、のんびりとした雰囲気でした。受付らしきおじいさんに「ここでデギュスタシオンをしたいのだけれど」と、どきどきしながら伝えると、「はいはいグラスは自分でとってね、今日はバニュルスだよ、知ってる?」みたいな自然な感じで、ビザがどうのとか資格はあるのか、などとは一切聞かれずごく自然に席につきました。
 この会場に行ったことが私にとって大きな転機になったのだと思っています。
(なんとまだ続くらしい)

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